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「マイノリティ」な外国人経営者として、男性リーダーとして創る「ダイバーシティ」のかたち|ハリー・A・ヒルさん

2016年7月1日

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ハッピーなライフスタイルの提案をコンセプトに、オンラインショッピング等を展開する「Shop Japan」の運営・管理を行うオークローンマーケティングの代表取締役社長ハリー・A・ヒルさん。内閣府男女共同参画局「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」に参画し、経営者としてもダイバーシティの推進に取り組んでおられます。 ご自身がダイバーシティ推進にどのような想いを込められているのか、また具体的にどのようなことを実践されているのかについて、詳しくお話を伺ってみました。


チャンスは平等に与えられるべき、でも働き方に平等を求めてはいけない

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ダイバーシティ推進に積極的でいらっしゃるのには、どのような背景があったのでしょうか?

ダイバーシティといえば、わたし自身が一番良い例なのです。私はアメリカから日本に来た時に、初めてマイノリティになりました。日本人と同じように働こうとすると、どうしても効率が悪くなる。まず、言葉は日本人の方がずっと上手いですし、私自身ついていけない時もありました。ですが、私にはそれらの壁をカバーする能力があると自信を持っています。すべての人も同じで、多種多様に得意・不得意などの差異があるなら、得意な能力を最大限に発揮して働けば良いのだと思っています。

私は、女性のために特化した活動を実践するだけではなく、女性を含むすべての人が、より良く働くことができるようにと常に考えています。男女に関わらず、チャンスはみんな平等に与えられるべきだと思ってはいますが、それは、すべての社員に同じ条件で働く平等さを求めることではありません。社員一人ひとりの能力、ワークスタイルに合わせて、それぞれに必要なサポートをする。能力のある人には、その人の成果を出しやすい環境をつくることが大切です。

当社がお客様に「世界中でより豊かなライフスタイルを実現する」というビジョンを掲げている以上、ワークライフバランスの整備を社内でも実行しないと説得力がないと思っています。


「いなければダメ」をなくし、「いたらもっといい」という働き方を


ダイバーシティ推進にあたって、社内で啓蒙されているご自身の考えはありますか?

この人が「いなければダメ」ではなく、「いたらもっといい」という働き方を全員ができるように心がけています。会社が正しい経営をするならば、たとえ私がいなくても、会社は存続できるはずなんです。もし明日私がいなくなったらつぶれてしまうという会社なら、私は「明日クビにしてください」と言います。私がいなくてもいいけれど、いたらもっといいシナジーが生まれる、というチームができていないなら、経営者として無責任だと思うのです。産休や育休についても、だれかが休暇を取っても成り立つようなチームワークが育っていると、個々のライフステージに合わせた多様な働き方が実現できます。

「いなければダメ」という環境をなくすには、どのような意識づけが必要になるでしょうか?

実働時間で評価するのではなく、成果を正当に評価する。こうした意識の推進が必要です。 365日24時間働く意識を持つということと、実際に365日24時間働くことは違うと思います。例えば、職場から離れて買い物に行く時も、そこでいろんな商品を見てインスピレーションを得られると、それを仕事に活かそうとする意識が生まれる時があると思います。オフィスに出勤していない時でも、意識は仕事でより良い成果が出ることに向けられているなら、結果的に良い結果が残せる可能性が高まると思うのです。


ダイバーシティを推進する側のインプットにもダイバーシティが必要


ダイバーシティを推進される側として、ご自身はどのようなことを意識されていますでしょうか。

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Shop Japan社員の行動指針のひとつに、「聴くことから始めよう!」というものがあります。これは私自身も実践していることのひとつでもあります。 社内ではVOE(Voice of Employee)プロジェクトという取り組みを 4 年ほど前から実施しています。スタッフ層の有志社員がプロジェクトメンバーとなり、社員から届く生の声や意見、質問を吸い上げ、月に1度開催される VOE 会議で、私を含む経営層に直接投げかけや改善の提案をします。そこででた意見やアイデアにはすべて答えます。それらのすべてに対してアクションすることは約束できなくても、まずはきちんと聴く姿勢を持つことが、経営者にとってとても大切なことだと思っています。

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また、オフィス内を歩きまわり、ミーティング中など社員同士がコミュニケーションを取っている輪の中に飛び込んで入っていくこともよくあります。社員たちにランダムに声をかけると、その時彼らがどのようなことを話し合っているのか、どのようなアイデアや課題があるのか、社員の声から会社の雰囲気を感じることができます。こうした距離感を大切に、お互いに声をかけやすい職場環境を作ることも、経営者として大切なことだと思っています。

なかには育児についてなどプライベートなことも私に相談する社員もいますし、社員から自発的に会社のための意見が集まってくるなど、社員と近い距離を築くことができていると感じます。 それによって、私自身が会社の「雰囲気」や社員のモチベーションを敏感に感じ取ることができるようになりましたね。

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社外でのインプットもとても重要です。Shop JapanのCSR活動のテーマのひとつである、教育・文化への貢献活動の一環として、当社創業の地・名古屋に拠点を置く劇団「ネイムレスシアター」が主催する舞台「真夏の夜の夢」に協賛しているのですが、先日この公演に、僕と社内のダンスチームがキャストとして出演しました。

舞台を経験したことは、私自身にとって、とても良い気づきがありました。私は主役ではなかったのですが、どんな役でもそれぞれの最大限の力を発揮できればいい舞台になる。それは、組織も一緒なんですね。サブの立場でも、自分の存在意義をどう発揮できるのかを考え、経験したことで、組織の中でも他の立場の人の気持ちを理解することができたんです。

社長になると、経営者同士の集まりや、同業者などとコミュニケーションをする機会がおのずと増えますが、管理職の集まりと同じくらいに、演劇のスタッフや社員たちとの会話も私にとっては大切な時間。インプットにもダイバーシティを持たせることが必要だと感じています。


最後に、ヒルさんご自身が今後どのような社会を目指しているのか教えていただけますか?

自分が住みたいと思える社会を目指すことはもちろんですが、私の3人の娘たちの世代にとっても住みやすく、彼女たちが活躍しやすい社会を作っていきたいと思います。経営者としても、社員のニーズに耳を傾け、さらに均衡の取れたワーク・ライフ・バランスを整えていきたいですね。